JSMS Committee on Plasticity Engineering |
地盤力学分科会
主査 岡二三生(防災研究協会)
幹事 木元小百合(大阪産業大学工学研究科)
地盤力学分科会は,塑性工学部門委員会の中で,2005年から始まった比較的新しい分科会です.それまでは,塑性力学分科会の中に地盤や岩石の力学も含まれていました.例えば1986年の第35期第1回の塑性力学分科会では岩盤力学における損傷についてと題した講演が京谷孝史先生(当時名大,現東北大)によって行われています.この分科会には機械・金属系の会員に加え,土木・建築系の会員も多数参加していました.これは,1970年代後半が,連続体力学を有理力学として整理する統一的な取り組みに力点が置かれた時代であり,対象材料の種類によらずその力学を論じる傾向が強かったためと考えられます.特に,せん断帯などの変形の局所化問題は,物体の破壊問題における分野横断的なテーマであり,塑性力学分野でも何度も取り上げられてきました.その当時は,ひずみこう配塑性構成式なども比較的新しいテーマでした.その後,形状記憶合金や複合材など新しいタイプの材料が出現し,研究も個々の材料の挙動に戻る傾向が強まり,話題が細部にわたると広い分野の研究者間での議論が難しくなりました.また最近では,DEM,SPH,MPMなどの新しい解析法としての粒子法やX-CTを用いた可視化技術など新しい実験・解析手法が取り入れられるようになってきており,このような状況下で地盤力学分野に特化したさらなる情報交換を目指すことになりました.これが当分科会の設立経緯です.もちろん,現在でも異分野との議論は重要であることに変わりなく,当分科会には機械・金属系の委員にも参加してもらっています.先に述べた変形の局所化に関しては,2007年に地盤工学会と共催で「地盤力学における大変形の予測とシミュレーション法」と題するシンポジウムを開催しています.また,現在X線-CTを用いた土や岩などの地盤材料の可視化技術に関する解説を会誌「材料」の「講座」に連載すべく準備しています.今後の10年は,このような技術によって,地盤材料の粒子構造が変形に与える影響,3相系不飽和土やメタンハイドレートの分解に伴う地盤変形問題,化学-熱-水-変形連成問題など,マルチフィジックスの観点からの研究が進展すると期待されます.
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